「九重さっき言ったでしょう。そのときはそのとき。一緒に怒られましょう、って」
だから、ね?と首を傾げると、九重は額に手を当てて横を向いた。
「無自覚ほど恐ろしいものはないな……」
「え、何か言った?九重」
「いいえ。では、お言葉に甘えて私もいただきます。お嬢様、横にあるベルを鳴らしてください」
銀色のベルを鳴らすと、あっというまにさっきの店員さんが出てきた。
「チーズインハンバーグを2つお願いします」
「かしこまりました」
「ああ、あと。ドリンクバーもセットでお願いします」
どりんくばー?
首を傾げる私に店員さんはにっこりと笑って、注文を復唱する。
「チーズインハンバーグのドリンクバーセットがおふたつでよろしいですか?」
「はい」
店員さんが厨房に引っ込んでから、九重に訊ねてみる。
「ねえ九重。どりんくばーってなに?」
「おそらく説明するより実際にご覧になった方がはやいです。お嬢様、来てください」