「ええ、お前ら結婚すんの?」


目を丸くする人物に、わたしの目もまんまるくなった。


「なんでここに月夜さんが……?」


今日は桜家親族との小さなパーティーが開かれている。


お姉ちゃん、光月さんはもちろん、お世話になった方々も招待している。


貴船や菊さん、姫乃さんや晶さんたち。

お父様の両親、お母様の両親の姿も見える。


「いずれな。今はまだしない」

「ふーん。やるじゃんリツ」


砕けた口調の鈴月さんと月夜さんに呆然としてしまう。

鈴月さんの服の袖をちょんと引くと、くるりと振り返った鈴月さんは柔らかく微笑んだ。


「────どうした?」


敬語が外れて、ドキッとする。

想いを伝えあったあの日から、鈴月さんは時々敬語を外して話すようになった。


そのたびにもう執事じゃないんだということを意識して、顔に熱が集まる。