九重にこくんと頷いた。


「分かったけど、できるだけはやく帰ってきてね……?」

「ああ、もう。決意が早くも揺らぎそうです」


額を押さえる九重は、耳で真っ赤にして俯いていた。

それでも、その細い指とわたしの小指を絡める。


「ゆびきり。約束ね」

「はい」


わたしの言葉に頷いた九重は、その顔に優しい笑みを浮かべて、またわたしを引き寄せたのだった。