「うっわなにまじで……みんな輝いてるんですけど」
隣でぶるりと身体を震わせる晶さんの横で、三春さんが苦笑した。
「桜家のパーティーだもの。有名なお方がお集まりになるのよ」
「みーちゃん案外肝据わってんだね、尊敬する」
三春さんの家柄を知らない晶さんは心底驚いたといった様子で目を見開いている。
今日はパーティー当日。
晶さんたちを招待することに成功したので、わたしとしてはほんの少しだけ気持ちが楽になった。
とはいえ婚約者と会わなければならないので、憂鬱なのに変わりはないけれど。
「このドレス、服に着られてる感が否めない……」
「そんなことないわ。とっても似合っているわよ、晶ちゃん」
嘆息する晶さんが身に纏っているのは、晶さんの明るさとはっきりとした性格を感じさせるワインレッドと、大人っぽさを引き立てる黒が圧倒的存在感を放つドレス。
晶さんには王道のプリンセスラインをどうしても着てほしくて、わたしがセレクトしたのだ。
本人はドレスを前にした瞬間、白目を剥いて倒れそうになっていたけれど。
「こんな豪勢なドレス、目立っちゃって着られないって思ってたけど、ここに来て分かった。みんな信じられないほど派手だわ。心配して損したくらい」
「そうね。本当に、綺麗な人ばかりよね」
「みーちゃんのその余裕は一体どこからくるの」
信じられないと言ったようにため息をつく晶さんは、再びドレスに視線を落とす。