「じゃあ……これだけお願い」
「え?」
ポスッと倉掛さんの頭の上に、軽い荷物を一つ置く。
「これだけ持てそうにないから……お願い」
「……うん!」
倉掛さんの満面の笑みに、俺の顔も綻ぶ。
すると周りにいた女子たちが「家宝!」とヒソヒソ話していた。
どうやら、俺の笑顔がレアでうんぬん――と言う話は本当らしい。
これ以上に目立つのが嫌で「行こう」と倉掛さんの手を強引に握る。そして、二人で教室を後にした。
◇
「あ、あの……トキくん、もう手を離してもいいんじゃないかな?」
「え」
倉掛さんが控えめにそう言ったのは、歩き出してしばらく経った時だった。



