「なんで俺が好きって……気づいた?」
「なんでって……そりゃ、抱きしめてあんな甘いセリフを言えば、誰だって気づくって~」
「!」
手を口にもっていき「オホホ」と言わんばかりの相条さん。
女子は友達に何でも話すって聞いたことがあるけど、まさかあの日の俺の行動も筒抜けだったなんて……。
恥ずかしさから、机に顔を伏せる。大橋がめざとく「おいトキくん起きてー!」なんて注意してきたけど、ムシだ無視。
「出来れば……誰にも言わないでもらえると助かる」
「言わないよ~それに、肝心な砂那は、まだ気づいてないみたいだしね」
「うん……」
「砂那は鈍感だからねぇ」と相条さんは壇上で固まっている倉掛さんを見る。
「砂那は、まさか自分がトキくんに好かれてるなんて、微塵も思ってないよ」
「……うん」
「ただ単に気づいてないってのもあるけど、それ以前に……砂那は自分に自信がないから。まさか高嶺の花のトキくんが自分なんかを好きになるはずないって……そう思っちゃう子なんだよ、あの子は」
「そうなんだ……」
「うん」
頷いた相条さんの横顔が、少し寂しそうに見えた。そのワケを俺が聞いていいのかは分からなくて……俺は無難に、話題を少しだけ逸らすことにした。



