「で、君が受験の時に砂那を助けてくれたという、トキくん?」
「……そうだけど」
倉掛さんの友達の相条さんにそう聞かれたのは、倉掛さんと大橋がクラスの皆に出し物の発表をしている、そんな時だった。
前に出ている倉掛さんをボーッと見ていたら、相条さんが「ねぇねぇ」といい笑顔で話しかけてきた。
「砂那が言うには、トキくんはもう少し落ち着いた印象の子だって聞いたけど?」
「今、落ち着いてない……?」
「トキくんは落ち着いてるんだけど、君の周りが騒々しいよね。トキくんがかっこよすぎるんだって」
「自覚はないけど……」
だけど、今朝の登校中も何人かの女子に話しかけられた。連絡先交換させて、とかもいたな。
でも、面倒だ。
第一、そんな事をしたくて変わったんじゃない。