寡黙なトキくんの甘い溺愛


「倉掛さん……なんか猫みたい」

「え、猫?」

「うん。なんか、猫が鳴いてそうな感じだった」

「(猫が鳴いてそう……?)」



猫って言えば、アレだよね?あの鳴き声だよね?



「にゃーん?」

「っ!!」

「(え!?)」



なんとなく猫の鳴き声を真似てみたら、なぜかトキくんが顔を赤くした。

え、な、なんで!?



「トキくん、大丈夫っ?どこか調子悪い?」

「いや、ごめん……その……。怒った時の鳴き声を想像してたから。フシャーって怒る、あれ」

「(そっち……っっ!?)」



顔を赤くする私に、トキくんは笑いを押し殺したように「クク」と笑う。私は恥ずかしくて、両手で顔を覆った。



「忘れてください……」

「わかった。じゃあこの手、洗ってくるね」

「う、うん」



そう言えば、トキくんの手はまだ絵の具の青色がついたままだった。

トキくんはドアを出る直前で「倉掛さんは?もう帰るの?」と聞いてくれる。