寡黙なトキくんの甘い溺愛


素直にお礼を言うと、しずかちゃんは笑ってくれた。

そして二人とも綺麗になった手を見せ合いっこして、教室に戻る。

だけど、その途中で――



「あ、ちょっと部室に忘れ物したんだった。先に教室に戻ってて、すぐ追いつく」

「分かったー」



しずかちゃんは美術部に入ることにしたらしい。美術室ってここからちょっと遠い……かな?気長に待とう。




「にしても、中学時代がチアリーディング部で、高校は美術部って……しずかちゃんは多彩だなぁ」




感心して教室のドアを開けた、その時。



「あ、倉掛さん」

「トキくん……」



筆を持ったトキくんが、手形ハートの前で佇んでいた。



「どうしたの?あ、もしかして手形まだだった?」

「うん。ここ数日は部活に出てたから……まだ押す所あるかな」

「まだ余白あるよ。こっち」