「トキくんの事を気にしていないなら、俺から提案があります」
「な、なんでしょう?」
「それは――
俺の事、好きになってみない?」
「……へ?」
大橋くんから言われた言葉に、思わず頭をひねる私。
え、今なんて言った?
好きになる?
私が大橋くんのことを?
「大橋くん、冗談も言うんだねぇ」
「違う違う、本気だよ」
「私が大橋くんの事を好きになって……それで?どうなるの?」
「俺が喜ぶ」
「なんで?」
「だって俺……」
大橋くんがチラリと私から目を逸らして、誰かを確認する。
だけどすぐに私と目を合わせて、それから――私の耳に口を近づけた。
ヒソヒソ話。
その内容は――
「倉掛さんに俺の事を好きになってもらったら喜ぶよ。
だって俺……倉掛さんのこと、好きだもん」
「……は?」
その内容は、にわかには信じがたいものでした……。