寡黙なトキくんの甘い溺愛


「う~っ……」



その時の私は、顔を伏せて一人で静かに泣いていた。

あたりはだんだんと日が落ち始めて、道を行き交う人の姿も閑散としてきた。

私の心にも体にも、次第に暗い影が落ち始める。



「(友達と同じ高校に行きたかった……)」



絶え間ない後悔に襲われていた、その時。

ガサッと、私の後ろで草土を踏む音がする。

と同時に、いつか聞いた声が響いた。



「……どうしたの」

「え――」



振り返ると、河原風に吹かれて更にボサボサになった髪の男の子――

朝、私の受験票を拾ってくれた男の子が、眼鏡の奥から私を覗き見ていた。