寡黙なトキくんの甘い溺愛


「倉掛さん……困ってたぞ。勝手に委員長にさせられて」

「えー困ってたぁ?」

「見ればわかるだろ……」

「ふーん、よく見てるんだねぇ彼女のこと」



ニヤニヤと笑う大橋を、キッと睨む。



「……茶化すな」



だけど全く懲りていないのか「はいはーい」と適当な返事で流されてしまった。

大橋は、飄々としていて何が目的なのか分からない。自分の眉間にシワが寄るのが分かった。



「倉掛さんの優しさに……甘えるな。別の女子に声を掛けろよ」

「随分、倉掛さんの肩を持つんだねぇ?」

「だから……茶化すな」

「んふふ〜♪」



大橋の明るい髪がサラッと揺れる。視界にも入れたくなくて、俺はため息をついた。



「はぁ……おい、もうちょっと離れて。あまり一緒にいると思われたくない」

「この短時間で随分嫌われたね、俺も。だけど、そんなつれない事を言わないでさ。ホラ、周りを見てごらんよ」

「(周り?)」



大橋に言われて、周りを見渡す。

すると廊下にいる大勢の女子が、大橋を見ている事に気づく。いや、見とれていた……という方が正しいのか。しかし、こんなにも見られたんじゃ、うっとうしくて仕方ないだろ。