寡黙なトキくんの甘い溺愛


「吾妻くーん!」
「写真も撮ろうよ〜!」
「何部に入るのー!?」



「え、えっと……」



しまった、どうしよう。抜け出せなくなってしまった……。



「(どいてくれ、なんて言ったら傷つけるんだろうか……だけど、このままじゃ……)」



女子からの熱気に思わず眩みそうになった――その時。



「はーい、吾妻くんはこっちー」



その声と共に、グイッと俺の手が引っ張られる。

意図しない事だったからか、俺の体は簡単に傾いて……引っ張られた手に、大人しくついて行く。


女子の輪を抜け、そして、廊下へ――



「助かった、ありがと……って、お前……」

「なんだよ。礼くらいきちんと言ったら?」

「……大橋」



そいつが誰かと言うと……

倉掛さんを委員長に推薦し、さっき俺に微笑みかけ、そして今、俺の手を引っ張った張本人――大橋大門だ。