「もう大丈夫そうだね」
「え」
「お試しで付き合ってるって言ってたけど、あの二人、馬が合いそうだ」
その口ぶりに、トキくんもトキくんなりに二人を心配していたのだと知る。そっか、大丈夫だってトキくんの目にもそう映ってるなら、本当に大丈夫だね。
私は、離れてしまった手を、また伸ばす。トキくんの大きい手にコツンと、控えめに当ててみた。
「砂那?」
「手、繋ご?あ、その……嫌じゃなければ」
勢いで誘ってしまったものの、すぐに我に返り恥ずかしくなる。だけどトキくんは「嫌なわけないよ」と、すぐに手を繋いでくれた。
「あったかいね」
「そうだね。砂那と一緒だと、落ち着くしあったかいし……いい事ばかりだ」
「本当あったかい……って、セミが鳴きそうな季節だけどね」
自分で言って、そうだ、今は五月だと思い出す。入学式から今日まで、長かった気がするのに、まだ二か月しか経っていない事にビックリした。