「砂那ちゃん~こんなに可愛くなってぇええ~」

「ちょっと大橋、涙が汚い。こっちに来ないで」

「それが彼氏にいうセリフ!?」


「あ、あはは……」



トキくんと無事に付き合うようになった、次の日。私はトキくんに見せた格好で、学校に来た。全く初めての自分に、ドキドキして、変に思われないか心配で、足が震えた。下駄箱まで、あと少しの距離。転ばないか心配するほど、私の足は覚束ない。

だけど、そんな時は思い出す。不安になったら、トキくんの言葉を思いだす。



「似合ってるよ、かわいい、砂那」

「……トキくん、おはよ」

「おはよう、砂那」



思い出している途中で、本物のトキくんが私の背後から現れた。そして、何の前触れもなく私の手を握る。恋人つなぎだ。