扉の取っ手に手をかけた、その時。「あ、あのね!」と砂那の焦った声が聞こえる。
「私、トキくんのおかげで、あの日から自信がついたの。好きって、そう言ってくれて、本当に嬉しかった……ありがとう」
「え、あ……ううん。俺こそ、ありがとう」
と言いながら、冷や汗が流れる。ここは砂那の家。ご家族は、いないのかな?もし御在宅なら、かなり恥ずかしい現場を見られていることになる。すると、俺の心配事を察したのか「今は誰もいないから、安心して」と砂那が一言添える。
「そ、そうなんだ」
ホッとしたと同時に「誰もいないのか」なんて、また違うドキドキが俺を襲う。でも、そんなことを知らない砂那は必死に、言葉を探しているようだった。俺へ、何を言おうとしてくれてるのか……気になった。



