寡黙なトキくんの甘い溺愛


疑問に思っていると「実はね」と砂那は立ち止まる。見ると、もう砂那の家に着いていた。砂那が続ける。



「実はね、今日、ちょっと時間をもらいたいんだ」

「時間?」

「うん、ちょっと待っていてほしいの。すぐ……10分くらい」

「分かった。ここで待ってるよ」



中に入る?と言われたけど、断った。少し頭を冷やして整理したかったから。だけど、バタンと玄関のドアが閉まった後の、砂那の家の中は騒がしいものだった。ドタドタと走り回る音が外まで響き、小さな子供でもいるのかと思うほど。時たまガシャンとかバタンとか聞こえて、静かに考える暇もなく、むしろハラハラしてきた。


だけど、時間にして約十五分。砂那の予想タイムを少し超えた頃に、砂那は玄関のドアを控えめに開けた。

「トキくん」と声だけ発し、姿を見せようとしない。



「砂那?」



不思議に思い、ゆっくりドアに近づいた。