教室に戻った俺と倉掛さんが目にしたのは、信じられない光景だった。



「学級委員――大橋大門・倉掛砂那」



黒板に書かれた字を見て、俺の後に教室に入って来た倉掛さんは、顔を青くしていた。



「……大丈夫?」



倉掛さんを見ると、頭を抱えて「何とか……」と返事が返ってきた。


もうホームルームは終盤だったらしく、みんなお開きモード全開だった。

うみ先生ですら「今から保健室に顔出そうと思ってたの〜」と、ひと仕事終えたような、ゆっくりとした動きで近づいてきた。


だけど、倉掛さんの青い顔を見て、



「ちょっと、本当に保健室に行ったの?まだ顔色が悪いわよ?」



と心配している。



「別件で……黒板のそれのせいです」



俺が指で黒板をさすと、うみ先生が「あ、あれね」と合点がいったようにポンと手を叩いた。