「緊張してきた……」



今日は高校受験の日。

憧れの高校を前に緊張して、冬の寒さも手伝って手が震える。

すると持っていた受験票が手から落ちて、数歩先まで飛んでいった。

「あ!」急いで駆け寄る。

けど私よりも先に、受験票を拾ってくれた人がいた。



「……どうぞ」

「あ、ありがとうございます……っ」



瞬間、雷に打たれたような感覚がした。

だって受験票を拾ってくれた、その人は……



「(すごいボサボサの頭……古風な眼鏡もしてるし、背も私よりちょっと高いくらいで……。男の子にしては少し長い髪が、女の子みたい)」



圧倒的に地味な感じ。だけど、これは悪口じゃない。

だって、私だって……



「三つ編みにメガネ。そして膝をも隠れる長いスカート丈……」

「え?」

「いえ、何でもないですっ」



まさか私と同じような地味な子が、他にもいるなんて思わなかった。しかも男の子で。