だけどトキくんは「作り話じゃないよ?本当の本当」と言って、眉を下げて笑った。大きな子犬みたいに見えて……少しだけ、心が和む。
「俺、全然なんだよ。中学の時に比べて、変わったのは見た目だけで……中身はポンコツのままだ。
さっきも、大橋に言われた。最低だって、失礼だって……その通りだと思った。大橋を傷つけて初めて、自分はいけない事をしたって気づいた。……ね、ダメダメでしょ?俺はまだまだ、未熟で、子供だ。
だけど、それを悟られないように必死に取り繕っている。自分の弱さを見せないために、いや、見られたくないがために……。そうやって、俺は出来た自分を、周りに知らしめたいのかもしれない。
いや、周りと言うよりは……ただ一人の人に」
トキくんはそう言って、静かに視線を動かした。その瞬間、私と視線が合う。ドキリと、心臓が跳ねたのが分かった。



