寡黙なトキくんの甘い溺愛



「頑張り屋、そして底なしの優しさかな?大橋に代わってプール掃除を引き受けるのも、告白してきた相手の事を思って断り方を真剣に悩むのも、あとは――あの暴れ馬なアオが、砂那にあそこまで懐いてるのが、答えなんじゃない?」

「アオくん……?」

「砂那は頑張り屋で、優しくて、面倒見が良くて……魅力的」

「魅力、的……?」



復唱した時に、今度こそ涙がこぼれた。その涙を拭ったのは缶ではなく、トキくんの細長い指だった。



「相条さんの言いたいことが分かるよ。砂那は、こんなにも魅力的なのに、こんなにも自分の殻に閉じこもってる、もったいない。俺は、そう思う」

「そんな……私は、ズルいよ?」

「誰だって、そういうズルさは持ってる。砂那だけじゃない。もちろん、俺だって」

「トキくん……?」



容姿端麗で優しいトキくんのどこに、ズルさがあるんだろう?その陰さえ見えない。トキくん、私に話を合わせてくれてるのかな……?