寡黙なトキくんの甘い溺愛


「私さ……ズルい女なんだ。トキくんと初めて会った日、私、同じ地味な子に会えたって勝手に喜んで、勝手に好きになった。自分と同じカテゴリーにいる人だから、ただそれだけで安心して、心を寄せた」

「うん」

「だけど、高校で会ったトキくんはカッコよくて……ああ、もう私とは違うって、思っちゃったの。私の手には絶対届かない人になったなって。そう思ってる自分が、すごくカッコ悪くて恥ずかしかった。私、なんて失礼なことを勝手に思ってたんだろうって。だからトキくんに顔向けできなくて、なるべく避けたくて……。

でも、今思えば……卑怯な自分から逃げてたんだよね。私は、ズルかったの」

「そっか」

「うん。私は、トキくんに優しくしてもらう資格なんてないの。そういう女の子。

さっきだって、そう。

実はしずかちゃんにも大橋くんへの返事のことを言われてて”本当に大橋くんの事を思うなら早く返事をすること”って言われて……雷に打たれた気分になった。私は結局、自分が傷つかないために、大橋くんへの返事を先延ばしにしてただけなんだなって」



一気に喋って、そして一呼吸置く。そして「さっきトキくんに出会ったのは、まさにその事に気づいた直後だった」と続けて話した。