「――な、さな……砂那、砂那?」
「ッ!」
名前を呼ばれる声が聞こえて、目を開ける。重たい瞼を開けると、そこは外で……あれ?なんで私、ここにいるんだっけ?
「こ、ここ、は……」
独り言のように呟いた私の声に、聞きなれた声で返答が来た。
「ここは中庭。砂那、授業をさぼって、ここで寝ちゃってたんだよ」
「え……あ、トキくん……」
「うん」
「……」
寝転がっている私の横に、腰を下ろして、私を見つめてくれる優しい瞳。トキくんは、私と同じベンチに座って、私が起きるのを待ってくれていたようだった。
「ご、ごめ!私、なんで寝ちゃったりして……っ」
「大丈夫。それより、まだ授業中だからシー」
「え、授業中……」
パっと口を押える。しまった、結構大きな声で喋っちゃったけど、大丈夫かな……?