「分からないって……トキくん、砂那と一緒だったんじゃないの?」

「会ったよ。でも…………」



言い淀む俺に痺れを切らしたのか、相条さんは「もう!」と怒ってしまう。先生が「今日は34ページからなー」と授業を始めたのをきっかけに、前を向く。その振り返り際に――



「次の休み時間、砂那を探すのを手伝ってよね」

「……もちろんだよ」



その会話を最後に、砂那の話は終わりになる。だけど授業の間の相条さんは、外を見たり、廊下を気にしたりと、終始落ち着いていない様子だった。

そして、それは俺も同じ――



「(砂那、ごめん……。どこに行っちゃったんだ……砂那……)」



祈るように、シャーペンを強く強く、授業が終わるまで握っていた。