「あれ?倉掛は休みか?」
「いえ……保健室に。調子が悪いと」
「そうか。ありがとう」
思わずウソをついてしまった。砂那が戻ったら謝ろう。それに、泣かせてしまった事も。
俺が先生に答えたのを聞いて、相条さんは俺を凝視した。砂那が授業をボイコットなんて初めての事だから心配した様子だった。
小テストが終わり、各々の列が回収にいそしんでいる中、相条さんは俺の方を向く。
「砂那、どこが悪いの?」
「どこも悪くない……保健室はウソだ。ごめん、砂那の居場所は……分からないんだ」
そう答えると、相条さんは目を開いた。驚いているようにも見えたし、怒っているようにも見えた。たぶん、どっちもだ。