寡黙なトキくんの甘い溺愛


すると大橋が口を開く。



「ねえトキくん。何かあった?」

「……え」

「いや、あまりに似合わない言葉を吐くから、熱があるか何かあったとしか思えなくて」

「……」



意外に鋭い大橋を、驚いた顔で見てしまった。誰かに自分の胸の内を救ってもらうのは、むくわれた感覚とどこか似ている。

なかなか話し始めない俺に、大橋は「無理には聞かないけど」と言って先を歩いた。学校を出てしばらく経つが、どうやら帰り道は一緒らしい。当たり前か。同じ中学だったもんな。


まさかここまで、あの大橋と距離を縮めて帰る日が来るとは、思ってなかったけど。



「お前のこと……少しは尊敬している」

「え……な、なに!?いきなり何!?隕石でも降ってくるの!?」



上下左右前後、全ての方角を確認した大橋が、自分の身に何も起こらないことを確認すると「本当に今日は調子が狂うなぁ」と俺の隣に戻ってきた。