「と、トキくん……?」
「……今のは、砂那が悪い」
「え、私……っ?」
あまりに幼稚な事を言ったから、聞くに耐えかねて口封じのために抱きしめてる?
でも、わざわざ抱きしめるなんて、そんな大掛かり(?)なことする?もし今、教室に誰かいたら大騒ぎだよ。
学校の王子が地味な子を抱きしめてる――って。
ズキン
自分で「地味」と言っておきながら、傷ついてる私。だけど悲観するのもそこそこに、私はキョロキョロと辺りを見回した。
幸い、教室には誰もおらず、廊下も誰も通っていなかった。
今ならまだ間に合う。
トキくんが変な噂をされる前に、さっさと私は離れなきゃ――
「と、トキくん、離してっ」
「なんで?魔法の手でしょ?この手には逆らえないんでしょ?なら――
俺にずっと、こうして抱きしめられてて」
「っ!」
言い終わると同時に、ギュッと強く抱きしめるのは、絶対に反則だと思う。
逃げようのない熱が、私とトキくんの間にこもる。解放しようにも、どうにもならなくて……私はどんどん、のぼせていった。



