寡黙なトキくんの甘い溺愛


混乱する私を宥めるように、トキくんが「砂那」と言いながら、キュッと握った手に力を込め、そして、離す。

久しぶりに空気に触れた手に、ひんやりと風が当たる。その冷たさが心地よくて――少しだけ、落ち着くことが出来た。


なんだったっけ……。そうだ、汗の事情を知りすぎてるから、不審がられてるんだ、今……!


頭の中で必死に言い訳を考える。そして思いついた答えが「学級委員だから」というものだった。



「皆の事を色々知ってないといけないなって思ってて……ほら、何かの役に立つかもしれないでしょ?」

「俺の汗の事を知って、何かの役に立った?」

「な、なったよ!トキくんの事を深く知ることが出来た!」

「……」

「(あ、これも変態発言だ……!)」



私の悪い癖。後の祭りが多いこと。言った後に「マズイ」と気づいても、もう相手の耳には入ってしまっている。

トキくんを深く知ることが私の喜びだと、トキくんに伝えてしまった私。自分でもどうしようもないくらい、バカだ……。