と――少しの間、浸っていると、トキくんが私の名前を呼ぶ。いつもの聞きやすい声で。
「砂那はさ」
「うん……?」
「分からない?」
「え、分からないって……何が?」
すると、トキくんは少しだけ椅子をギッと動かしたかと思うと、私の空いている手を片方だけ握った。
力が強すぎることはない。だけど、決して離さないって感じの、熱を帯びたトキくんの手。
「っ!」
その手の熱に、私の脳が揺さぶられる。体の芯から熱くなったようで、私はじわりと汗をかいてきた。
だけど――
「(トキくんも、珍しく汗をかいてる……?)」
目の前の王子様みたいな顔をしたトキくんも、顔の表面が少しだけ光っている。私のそれと、おんなじだ。



