寡黙なトキくんの甘い溺愛


「(やっぱりトキくんは優しいな)」



私がどんな無茶なお願いをしても「うん」と頷いてくれる。否定することなんて無い。

そう、私が「アオくんとの試合を断って」という、その事以外では。

トキくんは基本、なんでも頷いてくれる優しい人。



「ねぇ、トキくん。アオくんとの試合……」と言いかけたところで、トキくんの顔が徐々に険しくなる。

この状態で「断って」って頼んだところで、結果は同じだよね?

なら……。



「トキくん、聞いていい?」

「なに?」

「どうしてアオくんとの試合に出たいのか。その理由」

「……」



トキくんは暫く黙った後に、スッと両手を顔から離した。端正な顔が露になって、初めて見るわけじゃないのに、私は少しだけ顔が赤くなる。