寡黙なトキくんの甘い溺愛


「この子はアオくん。中学の時に塾で一緒だったんだ。別々の高校になって全く会ってなかったけど……。

なんかアオくん、背が伸びた?」

「うん!少し!」

「そっか~」

「砂那が元気そうで良かった!」

「うん、アオくんも」



男女が抱き合いながら「あはは」「うふふ」と言っているサマは、まさに彼氏彼女。大橋も同じことを思っているのか、ギリギリと歯ぎしりがしそうなほど、唇をかみしめていた。



「トキくん、行くよ!」

「は?あ、おい!」



プールサイドにいる砂那と、未だプールの中にいる俺と大橋。

大橋は、軽やかにプールから出ると、濡れた足ということも忘れて全速力で砂那の元へ向かった。

すると――



「砂那ちゃん、伏せて―!」という大橋と、

「大橋くん!来ちゃダメ!」と慌てる砂那。

そして、目にもとまらぬ速さで動く、例の男。



ダンッ



瞬きをした時には、走っていた大橋は地面に転がっていた。

いや、あれは転がっているっていうよりも……