「皆で名前で呼び合いたいんだよね?」

「いや、ちが、」

「遠慮しないで!ほら、大橋くんだって私のこと名前で呼んでるし!」

「……」

「皆で名前で呼び合えば、私たちもっと仲良くなれるよね!そうしたら、学級委員としてもとっても嬉しいよー」



と、本当のことを話しただけなんだけど……みるみるうちにトキくんの顔は疲弊していって……。私が喋り終わる頃には「はぁ」とため息までついていた。



「え、と、トキくん?」

「鈍感とは思ってたけど……まさかここまでとはね……」

「どん、え?」



するとトキくんは、今まで掴まれていた自分の手を、ふりほどいて、形勢逆転。今度はトキくんが私の手を掴んで、プールの端に連れていく。

そして、更衣室が並ぶ……いわゆる、グラウンドから死角になる場所に来ると、トンと私を壁に押した。