汗をポタポタ流して、たくさんボールを受け止めて、思いっきり投げる、男らしいその姿。
半袖の下から、たまにのぞく腕が妙に色気があって……線は細いのに意外に筋肉あるんだなって思ったり……。
「(トキくん、色んな部活の助っ人をしてるって言ってたけど……運動神経いいんだなぁ。ドッチまで上手いなんて……小さいころに何か習ってたのかな?超人過ぎるよ……)」
トキくんの背中をぼんやりと見ていると「こら」と大橋くんが私の目を手で覆う。
「トキくんばっかり見ないでよね」
「え、み、見てないよ!」
「嘘ばっかり。あーあ、ツライつらい。俺は本当に砂那ちゃんの事が好きなのになぁ」
「だから、大橋くんが好きなのはサッカーでしょ?」
「そうだけど」と、迫りくるボールに怖気もせず、大橋くんは何食わぬ顔で受け止める。
そしてC組の外野まで思い切り投げた後に、敵に背を向けて私を見た。
「サッカーと同じくらい、砂那ちゃんの事を好きじゃダメなの?」
「――え?」