しずかちゃんに「助けて」と目で訴えても「頑張れ~」とガッツポーズしか返ってこない。
だからと言って、自分からボールに当たりに行こうものなら、トキくんと大橋くんに全力で守られる。
しまいには……
「コラ」
トキくんの手が、私の頭に重くのしかかる。
「なんで、ちょこまか動くの」
「だ、だって、邪魔かなって思って……!」
「いいから。黙って俺に守られてて」
「(ドキッ)」
最後に頭をポンポンと撫でられて、私の前に立ちはだかるトキくん。ボールから守ってくれるその姿……
まるで王子様みたいな雰囲気に、私の頭がクラッとのぼせた。
「(たかがドッチボールなんて思ってたけど……思ったよりも刺激が強すぎるっ)」