「今日砂那ちゃん、やばいよね。チョー可愛いよね」
「……マジトーンやめろ」
「いや、本当に思ってると冷静になるんだよね俺」
確かに大橋は、今日はいやに静かだ。バスの時も、結局ほとんど話しかけてこなかった。まあ、俺が寝たふりをしていたからってのもあると思うが……。
「砂那ちゃんって優しいよね。それに――チョー可愛い」
「……だから?」
「うん。俺――マジに砂那ちゃんを彼女にしたい」
「は!?」
俺の大声は、先生が「今からドッチボールしますー!」という声にかき消された。皆喜びや落胆の声を出す中、俺と大橋だけは静かな闘争心が芽生えている。
「最初はさ、トキくんの嫌がらせのために砂那ちゃんを落とそうと思ってたけど……なんかさ、違うんだよな。砂那ちゃんって、底なしに優しいじゃん?ハチマキ作ってくれたり、タオルやスポドリくれたり」
「タオル、スポドリ……?」



