「鈍感なのに天然って、一番タチ悪いよねぇ~」

「……相条さん」



いつの間にか倉掛さんは他の所へ行っていて、代わりに相条さんが俺の隣に立っていた。相条さんは、ニヤニヤしながら俺の方を見る。



「砂那にプレゼントなんて、やるねぇ~。砂那、本当に喜んでたよ?」

「そっか……」

「今日と明日は一日中ジャージじゃん?だから、砂那がこれ以上モブに埋まらないように、髪も顔も可愛くしといたからね」

「顔?」



不思議に思っていると、相条さんが苦い顔をした。



「え~まさかトキくん。砂那にメイクしてたの分からなかったの?」

「……ごめん」

「やだやだ、女子の努力を男子は何とも思ってないんだから、」

「じゃなくて……倉掛さんはいつも可愛いから……。

だから、その……今日も可愛いから、いつも通りだと思ってた」

「……アホくさ」