寡黙なトキくんの甘い溺愛


肩で息をしている私を見て「マジだ」と目を丸くする大橋くん。



「じゃあ――いつかさ、一緒に走る?」

「え、いいの?でも、邪魔じゃない……?」

「誰かと一緒の方が、俺もやる気がでるし!

それに――引き締まった女子の体って、トキくん好きだと思うよ」

「!」



「もちろん俺もね!」といつもの飄々とした笑みをして、また走り出す大橋くん。少し走った先で「これありがと!バイバーイ!」とタオルとドリンクを持った手を挙げた。私も手を振り返すと、大橋くんはあっという間に、遠くまで走り去ってしまった。



「そういや、“俺のこと好きになってみない?”とか大橋くんに言われてたんだっけ。でも……言った本人が、もう忘れてるよね」



私が忘れてたくらいだし。



「(大橋くんって、掴めないな~)」



大橋くんの姿も見えなくなったところで、私もやっと家に入る。

今日は色んな事があったなぁ……。

楽しい事ばかりだった。

あ、そうだ!



「パジャマ買ったよって、しずかちゃんにメールしよっ」



トキくんにキスされたことを少し思い出し、ほっぺを触りながらしずかちゃんにメールする。するとすぐに、しずかちゃんから「私も買ったよ!お互い見せ合いっこしようね」と返信が来た。



「ふふ、楽しみだなぁ~」



明日はいよいよ、新オリエンテーションの日だ――