寡黙なトキくんの甘い溺愛


トキくんは軽く手を挙げて、私に背中を向けて去っていく。

私は……その背中を、小さくなるまで見送ろうとした……けど、しばらく歩いたトキくんが、クルッと振り返る。

そして――



「中、入って」

「え?」

「見届けてから、俺も帰るから」

「……わ、分かった」



トキくんが言うように、家の中に入る――フリをした。ドアをそっと開けて、トキくんが帰っていく姿を、こっそりと見送る。

私が家に入ったのを確認すると、トキくんは元来た道を戻っていく。そして曲がり角を曲がって、見えなくなってしまった。


ガチャ


ドアを開けて、家の前に出る。さっきまでここにトキくんがいたのが、ちょっと信じられない。



「明日の新オリ、楽しみだなぁ」



髪をくくってあるゴムをチョイチョイと触る。

そして家の中に入ろうとした、その時だった。