寡黙なトキくんの甘い溺愛


「そういえば――髪のゴム、ごめん」

「え?いーよ、いーよ!あんなの安物だし」

「でも……」



お店で髪を解いた、あの時。

緊張していたからか、解いたゴムをどこかに落としてしまった。

だけど、何もない黒いゴムだし、家に帰ったら、いくらでもストックあるしね!

だけどトキくんは申し訳なさそうな顔をしていて……本当に気にしなくていいのになぁ。



「トキくんにいつも助けて貰ってるから。私も何かしたくて自分からやった事だから気にしないで。そもそも、私がドジなせいで落としちゃったんだし!

それに……」

「それに?」

「助けられたのは私の方なの。トキくんの言葉に、救われて」

「……」



いきなりこんなこと言っても、トキくんは訳分からないだろうけど……でも、お礼を言っておきたかった。

私の中で、自信が少しだけ積み重なったから。

それは私にとって、すごく大きな一歩。