寡黙なトキくんの甘い溺愛


「(ひえー!私の手汗、もう少し我慢してー!)」



お店を出て、さっきの女子高校生たちの前を通る。

スルーしようとしたら、案の定「あ!」と見つかってしまった。



「ちょっと逃げないで……って、その手。なに、彼女いたのー?」
「なーんだ」
「行こいこー」



呆気なく散っていった女子たちに、私もトキくんも、しばらく呆然としていた。

だけど、どちらともなく、



「行った?」

「うん」



そう確認すると、途端に面白くなって……。



「ふふっ、気が抜けたら笑っちゃうね!」

「ふっ……うん、そうだね」



私たちは手を繋いだまま、しばらく笑いあってしまう。なんだか悪いことをしたような、そんな背徳感も少しあって……。

スリルでドキドキしたのと、トキくんと手を繋いでドキドキしたのと……混じったドキドキが、私の心を少しも大人しくさせてくれない。



「(トキくんは、どう思ったんだろう……?)」



チラリとトキくんを見る。

夕日に照らされた彼の耳は、ほんのり赤く染まっていた。