「ナ、ナンパ……困ってるよね?だから彼女役にと思ったけど……私じゃ役不足、だよね」
「そ、そんな事ないよ!」
「!」
トキくんの大きな声を、初めて聞いたかもしれない……。
お店の中にいた人も、何かあったのかと、私たちをチラチラ見ていた。
「ごめん、大きな声で……」
「ううん。あ、ありがとう……。
じゃあ……髪ほどいていい?顔を見られるのは、恥ずかしいから」
「うん……」
一つくくりのゴムを解いて、手ぐしで髪を軽く整える。
顔の横を髪で隠せば……。
よし、私ってバレる事はなさそう。
あ、ついでにスカートも短くしておこう。腰の位置でスカートを何度も折って、短くする。
「準備オッケーっ」
「あ、足……っ」
「トキくんの彼女だもん。これくらいしないとね……っ」
震える手をギュッと握った私を、トキくんが黙ってみていた。そして一言「ありがとう」と呟いて、スラリと長い手を、私に伸ばす。
「はい――手を貸して」
「う、うん」
ギュッ
大きなトキくんの手に、すっぽりと収まる私の手。
握手のような普通の握り方じゃなくて……指を絡める、恋人繋ぎ。



