ジリリリリリリリ
少しうるさい目覚まし時計とともに重い身体を起こす。
前までは朝が好きだったはずなのに今では自分を思い気持ちにさせる時間としか思えない。
「おはよう、美久。早く学校の準備しちゃいなさい。遅刻するわよ。」
朝から忙しそうにしているお母さんに言われる。
「ん。」
もう何もかもめんどくさくて適当な返事をする。
お母さんに言われるまま準備し、学校へ行く。
こんな奴隷みたいな生活も慣れっこだ。

バスに乗って、少し歩くと学校が見えてきて、通学する生徒も増えてくる。
「あ。美久じゃん!朝会えるなんてラッキーだ。おはよっ。」
「おはよ。葵。」
彼女は葵。
学校では彼女といることが多い、私の数少ない友人の一人だ。
前まではもう一人いたんだけどもう会うことは叶わない。
ここにいたらきっともっと楽しかっただろうななんて思っていると、
「でさぁ美久。合コン行く気になってくれたぁ?」
「行きません。」
またこの話かと思いながら断る。
「なんでよぉ!美久ちょーかあいいじゃん!別に大丈夫だよ!?」
容姿の問題じゃないんだけどな。
興味はもちろんないわけじゃない。
私だって恋愛をしてみたい。けどしたらだめなんだ。
私だけが幸せなのはそんなのはずるいから。
「美久もしかしてさまだあの事故のこと、、」
「ごめん先に教室行っとくね。」
小走りでその場から逃げ出す。
ごめんね、葵。
私は幸せになっちゃいけない人間なんだ。
そんな思いを失くさないために今は葵から離れた。