二人は今、連れ立って城外を歩いている。
 内侍になって以降、クララは城内に部屋を与えられているため、約1ヶ月ぶりの王都だ。

 城壁がないというだけで、空気が清々しく感じられるし、開放感が大きい。太陽の光すらも、いつもより眩しく感じられた。


「それにしても、どうしてわざわざ城外に出るの?」


 クララはそう言って小さく首を傾げる。

 二人がこれから会う相手は、登城の許されている人物だ。敢えて場所を移す理由がクララには理解できない。


「城だと邪魔が入りかねないし、こっちの方が息抜きできるだろ?この間も言ったけど、気分転換も大事だって」


 大きく伸びをしながら、コーエンは笑った。

 いつもよりもラフな服装。掻き上げた髪の毛が新鮮に見える。普段から気取らず着飾らないタイプのコーエンだが、今の方がより自然体のように思えた。


(わたしは今のコーエンの方が好きだなぁ)


 そんなことを考えながら、クララはハッと立ち止まる。それから己の言葉を反芻すると、ブンブンと大きく首を横に振った。