あの夜以来コーエンの前で『ヨハネス』は禁句だ。言えばクララを抱きすくめ、警戒を露に周囲を見回す。
「ねえ、コーエン。どうしてあの夜『わたしが婚約を破棄する』って勘違いしたの? そう言えばあの時、ヨハネス殿下の名前を口にしていたけど……」
「…………」
事情を話したくないのだろう。コーエンは口を噤んだまま、そっぽを向いている。
「コーエン?」
「実はね、あの夜ヨハネスから手紙が届いたんだ」
「ジェシカ! 勝手にバラすなって!」
コーエンは真っ赤に顔を染め、バツが悪そうに頭を掻く。
「【クララは僕が貰う。君とは結婚させない。既にクララの承諾は得た】なんて書かれてあってさ。いやぁ、中々に情熱的な手紙だったなぁ。どっかの誰かとは大違いだ」
(そっか。そんなことが……)
コーエンをけし掛けるため、前回同様ヨハネスは策を弄したらしい。
もしも彼が『アリスがコーエンとの結婚を望んでいるわけではない』と知っていたのなら、本気ではなかったのだろうが。
「ねえ、コーエン。どうしてあの夜『わたしが婚約を破棄する』って勘違いしたの? そう言えばあの時、ヨハネス殿下の名前を口にしていたけど……」
「…………」
事情を話したくないのだろう。コーエンは口を噤んだまま、そっぽを向いている。
「コーエン?」
「実はね、あの夜ヨハネスから手紙が届いたんだ」
「ジェシカ! 勝手にバラすなって!」
コーエンは真っ赤に顔を染め、バツが悪そうに頭を掻く。
「【クララは僕が貰う。君とは結婚させない。既にクララの承諾は得た】なんて書かれてあってさ。いやぁ、中々に情熱的な手紙だったなぁ。どっかの誰かとは大違いだ」
(そっか。そんなことが……)
コーエンをけし掛けるため、前回同様ヨハネスは策を弄したらしい。
もしも彼が『アリスがコーエンとの結婚を望んでいるわけではない』と知っていたのなら、本気ではなかったのだろうが。



