【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

「どうすれば良い? どうしたら俺と結婚してくれる? ヨハネスじゃなくて、俺と――――」

「ちょっと、待ってよ! 婚約破棄だなんて……そんなこと考えてないわ。そもそもわたしの方からそんなことが出来る筈ないじゃない」


 あまりにも訳が分からず、胸が騒めく。


「大体、婚約を破棄しようとしているのはコーエンでしょ!」

「俺が!? そんなこと、する筈ないだろう?」


 コーエンは驚きに目を見開き、クララをまじまじと見つめる。


「一体どうしてそんなこと……」

「だって、コーエンったらアリス殿下に気に入られちゃったんでしょう!? 結婚を迫られてるんでしょ!? そしたらわたしは用済みじゃない! 王族同士の結婚の方が、国にとってもメリットが大きいもの!」


 堪えていた筈の感情が爆発する。ずっと抑え込んでいたのに、最早我慢が出来なかった。涙がポロポロと零れ落ち、クララの頬を濡らす。コーエンは呆然としながら、クララのことを眺めていた。


「クララ――――俺さ、王太子であることより、クララと一緒に生きることの方が、ずっとずっと大事だよ?」


 優しく涙を拭われ、クララは顔をクシャクシャにする。


「もしも隣国が『王太子との婚姻を望む』って言うなら、俺は喜んで王太子の位をカールかヨハネスに明け渡すよ。だけど、クララのことは渡せない。俺はクララじゃないとダメだから」


 ずっとずっと欲しかった言葉。不安や葛藤が涙に溶けて、胸を優しく温める。