【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

 その晩、クララはバルコニーで一人、風にあたっていた。


(コーエンは一体、どうする気だろう?)


 もうすぐアリスの帰国の日。けれど、彼からは何も――――婚約解消を匂わせるようなことは言われていない。

 それでもコーエンは、ずっとアリスの側に居る。

 自信なんて全くない。コーエンがクララを選んでくれること。コーエンの考えを直接尋ねるだけの勇気も。


「クララ!」


 けれどその時、扉をドンドンと喧しく叩く音が聞こえた。


「コーエン?」


 切羽詰まった声。急いでドアを開ければ、コーエンは勢いよくクララのことを抱き締めた。


「コーエン!? 一体どうしたの!?」

「行くなクララ! 頼むから、婚約破棄なんてしないで! 俺はクララが居ないとダメなのに!」

「……え? なに? どういうこと?」


 今にも泣きだしそうなコーエンの様子に、クララは戸惑い首を傾げる。