「仕方がないだろう?父上に呼び出されていたんだ。三人に大事な言伝があるんだけど」


 フリードはそう言ってニコリと微笑む。
 カールは不機嫌に鼻を鳴らし、ヨハネスははぁ、とため息を吐いた。


「まぁ、大体は分かるけどね。王位継承戦の結果だろう?」

「御名答。今回のことで色々と動いたからね。お察しの通りの結果だと思うけど」

「……むぅ。致し方なし、だろうな」


 カール、ヨハネス、フリードの三人はそう言って、コーエンを見つめる。クララも遅れて、コーエンの方を向いた。


「おめでとう、フリード。君が次の王太子だ」


 そう口にしたのは他でもない。フリード自身だった。

 カールもヨハネスも、彼の言葉を異論なく受け入れている。

 けれどクララは、大きく首を傾げながら、フリードを凝視した。するとフリードはニコリと微笑みながら、クララの方へ歩み寄った。