(バカだ……わたし)


 いい加減、どうしたら己の感情が揺さぶられるか、そのぐらいは学習してほしい。
 そう心の中で悪態を吐きながら、クララはギュッと目を瞑った。


「それから!クララはもっとちゃんと、俺を頼れ」


 コーエンは先程よりも強めの口調でそう言った。
 クララは思わず目を丸くする。


(コーエンを頼る?)


 そんなこと、考えたことも無かった。

 クララが忙しくしているのは、クララ自身が選んだことだ。コーエンを王太子にしたいという、完全なるクララのエゴ。だから、フリードもコーエンも付き合わせる義理はない。そう思っていたのだが。


「クララが仕事を貰ってきたなら、それは俺たちの仕事だ。一人で抱え込まないで良い。俺も一緒にやるから」

「だけど……」