【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

(いつって、いつって……)


 熱を帯びていく身体に若干のパニックを起こしながら、クララは小さく首を横に振る。


「えっと……仕事が終わったら?」

「俺はそうしたいのに、クララは最近、私室にまで仕事持ち込んでるんだろ」

「うっ」


 どうやらコーエンにはそこまでお見通しだったらしい。軽くショックを受けながら、クララは静かに項垂れた。


(だって……まずは実績を作らないと。王子よりも優秀な王家の人間がいるって、皆に気づいてもらって。それにはわたしが頑張らなきゃ――――)

「ひゃっ!?」


 その時、クララの身体がビクビクっと大きく跳ねた。

 うなじに感じる温かく湿った感触。静かな部屋に木霊する小さなリップ音と息遣いに、一気にクララの体温が上がった。


「コーエン!?何考えて……」

「前にも言った。俺が考えてるのはクララのことだけ」


 触れるだけだった柔らかな唇が、クララの肌を鋭く吸う。そこだけ一気に血が集まる感覚がして、心臓が大きく収縮した。


(人の気も知らないで……!)


 コーエンは王太子になる気なんてサラサラないのだろう。そもそも土俵にすら上がっていないのだから。

 けれど、クララがフリードの内侍として送り込まれたのは、コーエンを王太子にするためだった。そう妄信できるほど、クララはコーエンの能力と、その人柄に惚れこんでしまっている。