この数か月間、3人の王子たちを側近くで見てきた。
 皆、それぞれに良さがあって、それぞれが国を思っている。
 けれど、コーエンほど、王に相応しい人間はいない。


(わたしがコーエンに恋をしているから――――ってだけじゃない)


 カールの目指す強い国も、ヨハネスの目指す豊かな国も、コーエンならば作れる。自分の想い描く理想だけでなく、皆の想いを汲む力。コーエンにはそれが備わっているのだ。


(何か方法はないのかしら?コーエンが王太子になれる、そんな道が――――)


 ひとり、思考の渦に呑まれたクララを、フリードがそっと見つめている。


『ボクはね……君のその瞳を待っていたんだよ、クララ』


 心の中でそう呟きながら、フリードは目を細めて笑うのだった。